活用事例 - 看護の研究 インタビュー分析でのNVivoの活用

聖路加国際大学 萱間真美 先生 - 看護の研究 インタビュー分析でのNVivoの活用

看護でのグループインタビューの分析や、論文レビューなどにNVivoの活用されている聖路加国際大学の萱間真美先生に、その活用方法についてお話を伺いました。

萱間先生の研究内容

聖路加国際大学 萱間真美 先生 画像

----萱間先生のご研究内容について簡単に教えていただけますでしょうか。

インタビューデータを分析することが多いですね。今年、NVivoを使用したのはAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の公的資金で、ガイドライン開発のためのグループインタビューと逐語録の分析をしました。精神科訪問看護が専門で、その効果をはかったり、訪問看護の実施状況や材能を把握するために全国調査もおこなっています。

今回は、患者さんフォーカスグループ(インタビュー)を実施し、訪問看護でしてほしくないことや、要望など、患者さんの視点から見た訪問看護のガイダンスを作成しました。

たくさんのフォーカスグループを実施し、複数の人たちが発言しているデータを分析する作業が必要になったのです。

フォーカスグループ・インタビュー逐語録でのNVivoの活用

今までだったら、そのインタビューの逐語録にIDを振って、患者さんの発言だけを抽出して、誰がどんなことを言った、男性、女性、年代、それから統合失調症とか、うつ病とか躁うつ病とか、どういう人がどういう発言をしているのかを分析していくのは、分析のためのファイルを何工程にも分けて作成する作業に、膨大な時間を要しました。特にフォーカスグループでは大勢の人が複数回発言するのです。

NVivoを使った作業では時間が大幅に短縮されます。

自動コーディングを使って発言者を抽出し、発言者のバックグラウンドデータを入れてコーディングストライプを表示させ、そのまま特徴を見たりできますから、それはすごく便利でした。

(NVivoを使用すると)グループインタビューのデータを分析する手間が本当に10分の1くらいになるから、もうそれはすごく良かったです。

看護の逐語録のコーディングに便利なコーディングストライプ

コーディング状況が一目でわかるコーディングストライプ機能

 

 

NVivoによって無くなったインタビューデータ加工の作業

私は大学院の授業でインタビューデータをどう分析するか、というところを教えています。

今まではWordで教えていて、逐語録を起こし、IDを振って分析用に加工するところまでで3時間かかることもありました。

学生に模擬インタビューを実施してもらい、それを録音して逐語録を作成、次の講義でそれをプロジェクターで映し、ID振りますとか、こういう風にスライスしてデータを抽出しますみたいなのを教えていたのです。

でも、NVivoを導入したら、この作業は省くことができます。

Wordファイルに行IDを振る方法の例

Wordを使用した逐語録の行ごとにIDを振っていく手法の例
IDを振る作業が必要になるため手間が発生するのに加え、すぐに分析に取り掛かることができない。

発言毎にIDを振っていく方法では、二行にわたる発言でテーマに関わる抽出箇所が2箇所あったらIDも2個振るというような作業を全部手作業でやっているとミスも起こります。NVivoではテキスト自体をマーカーすれば、異なるファイルが作成されます。

インタビューデータは患者さんのご意見や評価、体験を伺うので、看護の研究では使用頻度が高いのです。

それから、質問紙を作る尺度を作る際にも、患者さんに聞いてからアイテムを抽出していきます。

量的研究でも、質的研究でも、ミックスメソッドでもインタビューを用いる段階が必ずあるのです。

(研究の)インタビューデータの分析へのニーズがすごく高いので、NVivoは作業のための時間を短縮し、教えるための時間を生み出すといえます。

発言をテープ起こしした記録の、行ごとに全部IDを振っていくっていうのはすごく大変で・・・

1対1のインタビューであっても、発言のどの部分を引用したのかわかるために全部にIDを振ってたんですよ。全部の行に、それこそ1行目2行目みたいな感じで001 002とか。

データをスライスする作業に使っていた時間が、NVivoではどの部分を抽出するかを熟考することに時間を使うことができるのです。

NVivoの一番便利なところ

NVivoで一番便利なのは、IDを振らなくても元に戻れる、抽出した部分が元データのファイルにマーカーされて表示ができる点ですね。

IDを振らなくても元に戻れる、表示ができるっていうのが最強なところだと思ってるんです。

特定の部分だけ切り抜いて貼ったカット&ペーストじゃない。そこが重要なんです。

カット&ペーストすると前後の内容がわからなくなり、断片的になるという弱点がずっとあったんです。

論文を書くときにデータを引用する時は、発言の引用を意味がわかるように長く使うんですよ。初めて読んだ人がわかるように、引用は前後を含めてするんですよ。

その時に、今までのやり方だと、IDをみて、IDが振ってある元の元データのIDに戻って、該当部分を探して、その前後をカットしてコピーして引用します。何回も、何重にもファイルを遡ることになります。

NVivoを使用すると、引用するときにはコーディングから元ファイルに戻って、この前後をカット&ペーストするだけなので、とても楽です。

NVivoではコーディングから元データへと、クリックひとつでシームレスに行き来が可能

NVivoを使う理由

自動でいろいろ分析できることを目的にはしてません。
データを熟読しないと脳が理解できないので、よく読んで、この部分、この部分とかっていうふうにしていくプロセスで、自分の頭に入ることが大事だと思うんですよ。

---自分の頭に入れるための補助ツールとしてNVivoをご利用いただいているということですね。

そうですね。IDを振ったりとか、切り貼りに時間を使わないでいい分、データを何度も何度も読んで、ノードを作って、そのノードを何度も読んで「これは親ノード」「これはいらない」とか、ノードを100個ぐらい作ってそれを整理していくとか、結果の統合に時間をかける。

内容分析をする場合は、自動コーディングなどの機能を使うと思います。私の場合は解釈を含めた質的な研究ですので。

---ご自身の解釈を組み合わせるために、色々な余計な事務作業を伴っていたのが、NVivoを入れることでそういった部分を大きく短縮できたと。

そう、それはもうやらなくていい。

---現在一番多く使用されている機能は、Wordドキュメント内で発言者ごとに分けたものをNVivoにインポートして発言者ごとにコーディングする自動コーディングですか。

参考:NVivo 自動コーディング 発言者ごとのコーディング

 

それと、論文のPDFを取り込んで論文を細かく読んでいく、みたいなことをやっています。論文からの抽出と整理に活用しています。

 

 

論文レビューへのNVivoの活用

論文のレビューで、一番初めにNVivoを使ってやったのは、依頼原稿でした。福祉職と看護職はどう協働したらいいかについて、論文を集めて読んで書く必要がありました。

今までだったら論文をコピーして、紙にマーカーを引いて、マーカーのところをまた打ち直して、それで引用を書いてと、手作業で全部やってたものを、EndNoteとNVivoを使って作業をしました。

EndNoteにPDFを取り込んで全部整理し、それをNVivoにインポートし、福祉職と協働に関係あるところを抽出して、ノードを作って整理したんですね。それで、そのノードをまたエクスポートして、Wordにエクスポート、ノードの部分を目次にして、本文を書き、引用箇所を示して、原稿を完成させました。

NVivoを使い始める方へのメッセージ

私が初めて使う人に言いたいことはですね、このソフトで自動で何か出来ると思わないで、じっくりとテキストを読む、文献を読む。それで自分で必要なところを抜き出すことに使ってほしい。NVivoは自分で組み立てるためにあるのだと思うので。

私たちは当事者が言っている言葉を大切にするためにやっているので、そのためのツールとしてはNVivoは大変いいツールと思います。解釈は自動ではできないですよね。

---ご自身の研究手法や方針・研究計画があって、研究を進める道筋があってそれを加速させるのがNVivoであるという。

余計な作業をしなくていい。そこに尽きますね。でも、その余計な作業がものすごい膨大な時間なんですよ。

1980年代に研究してた頃は、まさに紙をハサミで切って貼ってましたからね。それをやらなくて済むようになったのがWordですが、Wordでも時間がかかってたものをやらなくてすむようになったのがNVivoですね。

私も、いろいろな質的分析のためのソフトウェアを使ってみたことはありますが、どれも使いこなせないと思った。それはやっぱり、元テキストに戻ることが出来なかったからだと思うんです。NVivoは元テキストにいつでも戻れるという強みがあるんで使ってみたいと思ったんだと思うんです。元のテキストが一番大事なので。

 

 

 

 

萱間真美先生プロフィール

聖路加国際大学 萱間真美 先生 画像

 

聖路加国際大学 大学院看護学研究科 教授

  • 経歴
  • 2004年- 現在聖路加国際大学(旧:聖路加看護大学)(教授)
  • 1999年- 2004年東京大学大学院医学系研究科(講師・助教授)
  • 1998年- 1999年(財)東京都精神医学総合研究所(主任研究員)
  • 1991年- 1995年 聖路加看護大学 助手・専任講師
  • 1986年4月- 1989年3月 医療法人社団碧水会長谷川病院看護科
  • 1997年 University of New Castle Upon-Tyne, Department of Psychiatry(Visiting Fellow)

 

  • 研究分野
  • 看護学 / 基礎看護学
  • 看護学 / 臨床看護学

 

研究キーワード

精神看護学 , 地域精神看護学 , 精神科訪問看護・多職種アウトリーチケアの効果に関する実証的研究 , 博士課程における質的研究方法の教育に関する研究 , 東日本大震災に関連した保健師の体験とケアに関する研究 , 認知症の周辺症状によって精神科病床に入院した人への退院支援に関する研究

 

 

 

 

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