査読者からの矛盾するコメントにどう対応するか

査読コメント対策に悩みを抱えたある研究者の事例を紹介します。

事例

ある研究者がジャーナルから査読コメントをもらいました。2人の査読者からのコメントで、互いに矛盾している内容でした。査読コメントが互いに矛盾している場合、エディターから、どちらのコメントを優先させるかサジェスチョンがあるのが普通です。

今回の事例に、そうしたサジェスチョンはついていませんでした。研究者は、一方の査読者の意見に従えば他方の感情を害することとなるのでは、と心配していました。どちらかの意見に従うべきか、安全策をとり妥協点を見つけるべきか彼女にはわかりませんでした。

さらに悪いことに、2週間以内に論文の修正を行い査読コメントへの回答を送付しなければならなかったのです。困惑し、緊張した彼女は、我々にアドバイスを求めてきました。

解決策

我々はまず状況を分析し、依頼者が直面している問題を以下のように特定しました。

  1. 修正論文を送付する締め切りが差し迫っている。

  2. 査読者たちはコメントの中でレベルの高い語彙使っていた。そのため、英語ネイティヴ話者ではない依頼者にはコメントを理解することが困難だった。

  3. コメントの中には、全く矛盾しているものがいくつかあり、一方に反対しないでもう一方の意見に対処するということは、依頼者にはどうしてもできなかった。

我々は、一つ一つ問題に取り組むことにしました。最初に、エディターに連絡し締め切りを延ばしてもらうよう依頼者にお願いしました。エディターからは数日中に返信があり、締め切りを1ヶ月延ばしてくれました。

締め切りまでの時間が増えたので、まず依頼者が理解できるよう、わかりやすい語彙を使って査読コメントをやさしく書き直しました。また、完全に矛盾しているコメントと、わずかな相違点にすぎないコメントに分けました。

依頼者には、だいたい同じ方向性を示しているコメントに取り組んでもらいました。

全部で30以上あった査読者からのコメントを分類する作業が終わると、各査読者からのコメントは、完全に対立しているものが7つだけになりました。そうしたコメント一つ一つに対し、どちらの査読者のサジェスチョンに従いたいかを決めなければならないことを依頼者に説明しました。

依頼者は、両方の査読者のコメントをしっかりと、批判的に読み、どちらがより適切かしっかりと根拠を踏まえた判断に努める必要があります。第一査読者のコメントに従うと決めたら、なぜ第二査読者の意見には従わないのか説明しなければなりません。

いったんコメントに取り組んだら、私たちは、回答に添付するエディター宛のカバーレターの構成を手伝いました。コメント中に互いに矛盾しているものがあったので、依頼者は一方の査読者の意見だけに従うという決断をしなければならなかったことを、カバーレターではっきりと述べました。

まとめ

査読コメントへ回答すること は簡単なことではありません。査読者たちの意見が違っている場合は特にそうです。

互いに矛盾しあっている査読コメントを受け取るのは珍しいことではありませんが、どちらのコメントに従ったらよいかエディターが明確な指示を出してくれない場合、どうしたらいいか研究者が判断するのは難しいところがあります。

一方の査読者のサジェスチョンに従うことで、他方の感情を害したくはないと思うため、どうしてよいかわからなくなることも時にはあります。

ここでは、互いに矛盾する査読コメントへの対処法を挙げます。

  • ・矛盾するコメントを調整したり、妥協案をとろうとしたりするのはやめましょう。論文にダメージを与えかねません。

  • ・コメントには一つ一つ取り組み、それぞれのコメントでどちらの査読者の意見に従いたいか決めなければなりません。

  • ・あなたが論文で伝えたいことを一番適切に反映しているコメントに従いましょう。

  • ・決定したことは、明確に、論理的に、客観的に述べましょう。

  • ・けして自己防衛に走ってはいけません。

  • ・ある査読者のコメントに従わないことにしたら、なぜ従わないことにしたかを、詳しく、根拠を踏まえて説明しなければなりません。従わないことにしたコメント一つ一つに対し、説明を行いましょう。

  • ・エディター宛のカバーレターでは、コメントが互いに矛盾していたので、それらの中から対処するコメントを選ばなければならなかった。ただしコメントを選択した理由は述べてある。と説明しましょう。

  • ・特定のコメントに対し疑問を感じた場合、相談に乗ってくれるようエディターに依頼することもできます。