EndNoteをシステマティックレビューに活用する


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膨大な論文を管理する必要があるシステマティックレビューの場合、厳密な管理が必要になります。そして、多くのシステマティックレビューの論文でEndNoteが使用されています。

システマティックレビューでのEndNoteの活用方法の例を解説します。
※紹介する方法は一例です。必ずしもこの方法である必要はありません。

  1. EndNoteをシステマティックレビューに使うべき理由
  2. グループ機能を使って、文献を管理する
  3. データベースからabstractなど文献情報を取り込み
  4. 重複削除と設定
  5. スクリーニング用、適格性判断用のグループを作る
  6. Inclusion、Meta-Analysisのグループを作る

 

EndNoteをシステマティックレビューに使うべき理由

エクセルなどでもシステマティックレビューでの論文管理は可能ですが、件数が多いと様々な工夫が必要になったりします。

EndNoteを使用した場合、主に以下のようなメリットがあります。

  • ・グループ機能でデータベース別に文献の管理ができる
  • ・データベースから文献情報とabstractをまとめて取り込み可能
  • ・重複の削除も一括で可能
  • ・スクリーニングの際、他ツールへの出力もスムーズ

特にPRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses)における「Identification」と「Screening」に役立ちます。

※始めるにあたって
システマティックレビューを行う場合、文献が混ざってしまう可能性があるため、システマティックレビュー用のライブラリを作成してください。 また、記録用途や、いつでも戻れるように各作業の前後でバックアップを作成することを推奨します。
▼参考 EndNote 使用ヒント集 「ライブラリデータのバックアップを作成しよう」

また、複数プロジェクトがある場合、混ざらないようにシステマティックレビュー別にライブラリを作成してください。

同期機能を使用している場合、初期設定で自動同期が有効になっています。そのため、システマティックレビュー用のライブラリを作成する際に、意図せずライブラリがマージされてしまう可能性があります。同期機能を利用している場合は、以下の手順で自動同期の設定を無効にしてください。

  1. メニューの [Edit] または [EndNote 20] > [Preferences] を選択
  2. [Sync] を選択し、[Sync Automatically] 項目のチェックを外す
  3. [適用] > [OK] または [Save] をクリック

 

グループ機能を使って、文献を管理する

まず、グループ機能を使って文献を管理しましょう。

グループの分類のやり方は人によって異なりますが、ここでは文献情報を取り込んだデータベースごとにグループを作ってまとめる方法を紹介します。

下記の図の赤い枠の部分がEndNoteのグループパネルです。

グループセットは複数のグループを収納する大きなグループです。下記の画像例では「年代別」が一つのグループセットです。その下の「2018」などはグループです。グループセットが「親」でグループが「子」になります。

それでは、システマチックレビュー用にグループを作りましょう。グループセットの作成方法は以下の通りです。

  1. グループパネルにて右クリックし、表示されるメニューの「Create Group Set」をクリックします。

  2. グループセットの名前を付けてEnterキーを押すと新しいグループセットができます。

  3. グループセットができました。このグループセットの下に各種グループを作成できます。

次にグループセットの下にグループを作ります。
カスタムグループは手動で振り分けることができるグループです。

これで取り込み元のデータベースごとにグループを作り、取り込んだ文献情報を分類していきます。
作成方法は以下の通りです。

  1. グループセットにカーソルをあわせて右クリックし、表示されるメニューの「Create Group」をクリックします。

  2. グループの名前を入力し、Enterキーを押すと新しいグループが作成されるので、取り込み元のデータベースの名前を入力します。ここでは「PubMed (** ←数字を入れます)」とします。

    重要なのはデータベースから文献を取り込んだ際に、名前の横に取り込んだ文献数を記載することです。※画像のデータベースは例です

PRISMAフローチャートの場合、総数を記載する必要があるため数字の記録が必要です。ここに数字を入力しておくことで、後で重複削除などをしたときに元々の文献数はいくつだったか記録しておくことができます。

グループ名については、検索に使った単語とデータベースを入力するというやり方や、データベース名+取り込んだ日付を入れるなど様々です。ご自身で必要な情報をご入力ください。

▼参考 EndNote 使用ヒント集 「EndNoteのグループ機能を活用してみよう」

データベースから文献情報とabstractを取り込み

グループの設定が完了したら、データベースから文献情報をEndNoteにインポートします。

多くのデータベースでは検索結果からEndNoteなどの文献管理ソフト向けのファイル出力を選択することで、abstractを含む文献情報(取得できる情報量はデータベース収録データによる)を一括で取り込むことが可能です。

各データベースからの論文取り込みの手順はFAQをご参照ください。

「PubMed のウェブページから文献情報を取り込む方法」
https://www.usaco.co.jp/faq/detail.html?pdid1=186

「医中誌Web から文献情報を取り込む方法」
https://www.usaco.co.jp/faq/detail.html?pdid1=97

「Web of Science から文献情報を取り込む方法」
https://www.usaco.co.jp/faq/detail.html?pdid1=66

「JDreamIII から文献情報を取り込む方法」
https://www.usaco.co.jp/faq/detail.html?pdid1=96

「BioMed Central から文献情報を取り込む方法」
https://www.usaco.co.jp/faq/detail.html?pdid1=82

「Google Scholar から文献情報を取り込む方法」
https://www.usaco.co.jp/faq/detail.html?pdid1=69

「CiNii から文献情報を取り込む方法」
https://www.usaco.co.jp/faq/detail.html?pdid1=68

ご利用のデータベースなどで取り込み手順が不明な場合は、テクニカルサポートまでお問い合わせください。

  • 文献情報をEndNoteに取り込んだら、取り込んだデータベースのグループに分類します。 グループ分けしたい文献レコードを選択し、作成したグループへドラッグ&ドロップするとその中に分類されます。

  • 取り込みが完了しました。グループ分けしたらレコード数をグループ名に入力し、取り込んだ時点で何件あったかを記録します。また、検索結果と数が一致しているかを確認します。

    この時点では重複文献を削除していないので、グループ内の文献数と、グループ名に記載した数字が一致しています。※画像のデータベースや文献数は例です

  • 各データベースから取り込みが完了したら、重複削除用のグループセットを作成します。

  • ここに先ほど集めた各データベースの文献を全て入れます。
    各グループを開き、中にある文献を[Ctrl + A](MacはCommand + A)で全て選択してドラッグ&ドロップで重複削除用のグループに入れます。

  • 全ての文献が入ったら、重複を削除していきます。

    重複削除と設定

    複数のデータベースから取り込んだ文献は重複があるので削除する必要があります。

    同一の文献情報をEndNoteライブラリに重複して取り込んでしまっても、[Find Duplicates]で簡単に抽出・除去することができます。

    Find Duplicatesの紹介動画

     

    重複削除の前に、下準備と、重複抽出の設定を確認しましょう。

    取得した文献情報はデータベースごとに内容が異なっていることがあります。そのため、事前に[Find Reference Update]で文献情報を更新し、統一するのがオススメです。

    特にAuthor欄は表記がフルネームであったり、First Nameのみイニシャルであったりと、データ取得先によって異なることがあります。

    取得先が異なるため、同一文献でAuthor情報に表記ゆれがある例

    [文献情報の更新 Find Reference Update]

    1. [Find Reference Update]を実行するには、文献を選択し、右クリックでメニューを開き、[Find Reference Update]をクリックします。

    2. 更新情報が表示されるので、[Update All Fields]、または[Update Empty Fields]などを選択し、更新します。

    3. 複数のレコードに対し本機能を使用した際、[Update All Fields] または [Update Empty Fields] をクリック後に現れるウィンドウで [はい](Windows) または [Yes](Macintosh) をクリックすると、選択していたすべてのレコードに対して同様の処理を行います。
      [いいえ] をクリックすると、次のレコードのアップデートへ進みます。

    [Find Reference Update]で文献情報を更新したら、重複を削除をします。

    [重複抽出の設定]

    重複削除の前に設定を確認しましょう。特に、システマティックレビューでは、作業の前に毎回設定を確認するといいでしょう。

    1. 【Windows】
      EndNote メニューバーで [Edit] → [Preferences...] の順にクリック。
      【Macintosh】
      EndNote メニューバーで [EndNote 20] → [Preferences...]の順にクリック。

    2. [EndNote Preferences] 画面で、左側のリストから [Duplicates] を選択します。

    3. [Compare references based on the following fields]で、重複を判断する基準となる項目を選択します。

    デフォルトでは、以下の 4 項目にチェックマークが付けられており、これら4項目が一致したレコードを重複とみなすよう設定されています。

    • ・Author
    • ・Year
    • ・Title
    • ・Reference Type

    注意点としては、チェックを付けた項目が多いほど厳密ですが、異なるデータベースから取得した場合はデータ内容が完全に一致しているとは限らないため、重複が見落とされる可能性があります。必要以上にはチェックを付けないようにしましょう。

    その他、ライブラリ内の重複抽出の漏れを無くすために一度重複削除した後、項目を変更して再度重複抽出をおこなうなど、設定を変えて複数回[Find Duplicates]をおこなって重複を抽出するやり方もあります。
    例. 最初はデフォルトの4項目で重複削除した後、「Title」と「Year」のみで再度実行するなど

    また、EndNote 20からはチェック項目に「DOI」、「PMCID」が追加されています。これらは文献に対する固有のIDなので、表記ゆれなど関係なく確実に重複とみなすことができます。文献情報に「DOI」や「PMCID」が入力されている場合は、これらの項目を指定すると確実に重複を抽出することが可能です。
    例. 「DOI」のみで重複抽出

    [重複抽出 Find Duplicates]
    ※[Find Duplicates]実行前にもバックアップを作成することを推奨します

    1. EndNote メニューバーで [Library] → [Find Duplicates] の順にクリックします。

    2. [Find Duplicates] 画面に、重複レコードが左右に並んで表示されます。大量の文献がある場合[Cancel]をクリックして、ウィンドウを閉じます。

    3. [Cancel] をクリックすると [Find Duplicates] 画面が閉じられ、ライブラリ画面には重複レコードが表示されます。

      重複しているレコードのうち、より最近ライブラリに取り込まれたレコードが反転されて表示されます。

    4. EndNote メニューバーの [References] → [Move References to Trash] をクリックします。重複レコードとして反転表示されていたレコードがライブラリ画面から削除されます。

    5. これで重複削除の完了です。
      変更を加えるときはバックアップを作成することをオススメします。
      ▼参考 ライブラリ内の重複文献を削除しよう | EndNote使用ヒント集

    スクリーニング用、適格性判断用のグループを作る

    PRISMAフローチャートに沿うような形でスクリーニング用、適格性判断用にグループセットとグループを作成していきます。
    ※スクリーニングが複数回になる場合は「Screening 2」など対応するグループを追加します。

    1. ここでは例として「Screening」というグループセットと、「採用」「除外」「未選定」というグループを作成してみます。※グループ名は例です。
      グループ名の横には最初にどれだけあったか数字を入れるといいでしょう。

    2. グループを作成したら、重複を削除したグループの全ての文献を「未選定」のグループにドラッグ&ドロップで入れます。

    3. その後、「未選定」のグループにある文献を精査し、「採用」「除外」に振り分けていきます。

    4. 除外理由を記載する場合、文献情報の[Research Note]や[Custom]の項目にメモするといいでしょう。

      ▼参考 EndNote 使用ヒント集 「ライブラリ内のレコードにメモを付ける」

      スクリーニング用にエクセルなどに出力する場合は「エクセルに文献情報を出力する」をご参照ください。Titleとabstractのみを出力するなど、表を作成することが可能です。

      ▼参考 EndNote 使用ヒント集「エクセルに文献情報を出力する」

    5. 次の段階では、「Eligibility」のグループセットと「採用」「除外」「未選定」を作成し、「Screening」のグループセット内の「採用」にある文献を、「Eligibility」のグループセット内の「未選定」のグループに入れ、同様の作業を繰り返します。

    [フルテキストPDFの自動取得 Find Full Text]

    適格性判断の段階では論文の全文を読む必要があるかと思います。 フルテキストのPDFを入手する場合、EndNoteの[Find Full Text]機能を使用すると、オープンアクセスのPDFをEndNoteが自動で取得します。

    ※個人利用の範疇を超えた大量ダウンロードなどを行うと、出版社からアクセス制限などの措置が取られる可能性があります。ご所属機関の規約によっては、自動ダウンロードが禁止されている場合がありますので、規約などに従ったうえでご利用ください。

    1. レコード一覧画面でフルテキスト PDF を検索するレコードをクリックして反転表示します。

    2. 反転表示させたレコードを右クリックして [Find Full Text] を選択します。
      EndNote メニューバーで [References] →[Find Full Text] → [Find Full Text] の順にクリックする方法もあります。

    3. フルテキストファイルのオンライン検索が始まると、ライブラリ画面左のグループパネル下部に [Searching] と表示されます。

    4. フルテキストファイルが見つかると自動でダウンロードされ、レコードに添付されます。レコード一覧画面のレコードにクリップマークが表示されます。

    5. ライブラリ画面左のグループパネル下部 [Find Full Text] 領域に、検索結果が以下のように表示されます。

      ・Found PDF
      フルテキスト PDF ファイルをダウンロードできたレコードの数。
      ・Found URL
      フルテキスト PDF ファイルをダウンロードできるページの URL を取得できたレコードの数。フルテキストファイルは見つかったものの、有料であるなど、何かしらの理由でダウンロードできなかった場合、フルテキストを提供するインフォメーションプロバイダの URL がレコードに追加されます。
      ・Not Found
      フルテキストファイルが見つからなかったレコードの数。

    6. PDF が添付されたレコードをダブルクリックして [Summary] タブまたは[Edit] タブを開きます。

    7. [Summary] タブの最上部または [Edit]タブの [File Attachments] フィールドにある添付ファイル名のボタンをクリックして [Open] を選択すると、添付された PDF が開きます。

    Inclusion、Meta-Analysisのグループを作る

  • 全文のスクリーニングで関連のない研究を除外した後、「Inclusion」のグループセットと「採用」「除外」「未選定」を作成し、「Eligibility」のグループセット内の「採用」にある論文を「Inclusion」の「未選定」に入れます。

  • メタアナリシスにも適格する論文は「未選定」から「採用」に移していきます。

  • 最後は「Meta-Analysis」のグループセットと「採用」を作成します。
    「Inclusion」のグループセット内の「採用」を「Meta-Analysis」の「採用」に入れます。

  • まとめ

    上記で紹介したような形でPRISMAフローチャートに沿った形でふるい分けが可能です。 今回紹介した方法は一例ですので、必ずしもこの方法でやる必要はありません。ご自身で使いやすいように改良してみてください。