【若手研究者向けガイド】 様々なタイプの論文について

アカデミアという競争世界において、研究者はキャリアの早いうちから論文を出版するよう期待されています。しかしながら、オリジナルな研究を完遂するのには、何年もかかるといったことが時にはあります。だからといって、その研究が終了するまで何も出版できないというわけではありません。

学術論文には様々なタイプのものがあり、オリジナルの研究を必要とするもの(一次研究 "primary literature"と分類される)もあれば、すでに発表済みの研究をもとにしたもの(二次研究 "secondary literature"と分類される)もあります。研究発表の際には、様々なタイプの論文について、その違いを明確に理解しておくことが重要です。

そうすれば、どの論文形式が自分の研究に適しているのかがわかり、研究成果の効果的な発信が可能となります。

論文のタイプは、分野によって違っています。たとえば、臨床試験(clinical trial)はおそらく医療分野に限られるでしょうし、観察研究(empirical study)は社会科学の分野でより馴染み深いでしょう。

ここで大切なのは、どのジャーナルもすべてのタイプの論文を掲載しているわけではないということです。どのタイプの論文を掲載するかについては、各ジャーナルのウェブサイトの投稿規定で確認することができます。

ターゲットのジャーナルが決まったら、自分が書こうとしているタイプの論文をそのジャーナルが掲載するかどうかを確認しましょう。

科学論文には、たとえば以下のようなものがあります。

1. 原著論文(Original research):

オリジナルの研究を報告する詳細な研究であり、一次研究に分類されます。原著論文には仮説、先行研究、方法、結果、結果の解釈、生じ得る影響の考察が書かれています。

原著論文は単語数にして3,000単語から6,000単語と一般的に長く、なかには語数制限を12,000単語までとするジャーナルもあります。原著論文を書くには、膨大な時間を注ぐ必要があります。

2. レビュー論文(Review article):

レビュー論文は、ある分野の先行研究を概観するもので、ある具体的な問題を特定し、そのテーマに関して発表された研究情報を偏りのない視点で分析します。

レビュー論文は発表された研究だけをもとにしなければならず、未発表の資料を含めることはできません。レビュー論文は二次研究とみなされており、若手研究者が論文発表を始めるには効率的な方法になります。

レビュー論文は、大まかに3つのタイプに分けることができます。すなわち、文献レビュー(literature reviews)、系統的レビュー(systematic reviews)、そしてメタ分析(meta-analyses)です。レビュー論文は通常長く、ジャーナルにもよりますが、語数制限はだいたい3,000単語から5,000単語です。ただし、短いレビュー論文を掲載しているジャーナルもあります。

3. 臨床症例研究(Clinical case study):

臨床症例研究とは、医療行為や臨床診療における実際の患者の症例を詳しく紹介する研究です。通常、その分野の既存の知見に大いに貢献する症例が示されています。

臨床症例研究で求められているのは、兆候、症状、診断、疾患の治療についての考察です。臨床症例研究は一次研究と見なされ、通常は原著論文と同程度の長さです。臨床症例研究には豊富な経験が必要ですので、若手研究者に適した発表形態とは言えないかもしれません。

4. 臨床試験(Clinical trial):

前項と同様、医療分野に固有である臨床試験では、方法論、実施の詳細、コントロール・グループを含めた試験の結果が記され、通常は大勢の患者に対して行われます。

臨床試験の論文も、原著論文と同じくらい長いのが普通です。臨床試験も実地での経験が必要です。加えて、高水準の倫理と信頼性も必要になります。ですから、経験豊富な研究者に、より適した発表形態です。

5. 展望(Perspective)、意見(opinion)、注釈(commentary):

展望論文は、ある分野での基本概念あるいは広く行き渡った考えについて学術的にレビューするものです。通常、ある分野で広く行き渡った考えを批評する個人的見解を示す小論です。

一つの概念をレビューしても、関連する数個の概念をレビューしても構いません。展望論文は二次研究とみなされ、たいていの場合、約2,000単語の短い論文になります。

意見論文は、ある特定の研究で提示された解釈や分析、方法に対する著者の見解を示した論文です。理論や仮説の長所と短所について論評されています。建設的な批評をもとにしているのが普通であり、証拠に裏付けられた論文でなければなりません。

こうした論文により、科学に関する現在の問題について議論が促されるのです。意見論文も比較的短い論文です。

注釈はたいていの場合、約1,000単語から1,500単語と短く、これまでに発表された論文や書籍、報告に着目し、批評する論文です。どうしてそれらが興味深いのか、いかに読者にとって啓蒙的であるかを説明しています。

6. 書評(Book review):

書評はたいていの学術雑誌に掲載されています。近刊の学術書に対する洞察を与え、意見を示すのが目的です。また、書評は比較的短く、書くのに時間もかかりません。若手研究者にとっては、専門分野の新しい文献を把握できると同時に、自分の業績リストに加えることもできるので、発表する場合の選択肢としてお勧めです。