活用事例 - NVivo採用で学部生の定性分析スキルを磨く

東京理科大学 - NVivo採用で学部生の定性分析スキルを磨く

東京理科大学 牧野恵美先生 画像

東京理科大学経営学部の牧野研究室では、ゼミ生に対して「起業体験」のプロジェクトを推進してもらうことと並行して、NVivoによる定性分析を指導。 新たなイノベーションにつながるアイディアを生み出すスキルを磨かせています。

イノベーションを成し遂げるアントレプレナーの思考・行動様式とは

現地採用の新聞記者として、1990年代後半、米国のベンチャー企業や起業家を取材した牧野氏は、クレアモント大学院大学にて経営学の博士号を取得、九州大学での教職を経て、2016年に東京理科大学に着任されています。

牧野氏が研究対象としてきた「アントレプレナーシップ」の根底にある問いは、「多様な考え方を持つ人々が集まる中でどのようにイノベーションが起きるのか」ということです。新しい価値の創造は、しばしば異質な人々の組み合わせから生まれます。 しかし、考え方が異なっているがゆえに対立する可能性をはらんでいます。

そこで、対立するのではなく、お互いの違いを認め合い、それぞれの強みを適切に持ち寄ることでイノベーションを生み出すための方法論とはどんなものか、またイノベーションが起きるプロセスとはどのようなものなのかを実証することに、牧野氏は取り組んできました。

牧野氏は、そもそもイノベーションが生まれるためには、まず起業家個人が「アントレプレナー(起業家)的な思考様式・行動様式」を身につけている必要があると考えています。 成功したアントレプレナーの多くは、大企業のマネージャーのような思考をしていません。

すなわち、目標を定め、事業計画を立案し、必要な経営資源を調達し管理するといった体系的なアプローチではなく、まず「行動ありき」であるのがアントレプレナーです。

アントレプレナーは、自らの体験を通じて、なんらかの課題を認識し、事業アイディアを着想したら、ひとまず自分ができること、手元にあるものを使って行動を起こすのです。 事業計画など書くことはまずありません。周囲の人を巻き込みながらトライアル&エラーを繰り返します。その過程でしばしば目的自体も変わることがありますが、粘り強い行動により、新たな価値を生み出す事業として結実するのです。

このように、アイディアを机上で終わらせず、行動を起こし、賛同者を増やしていき、事業化できる能力を牧野氏は「事業構想力」と定義しており、アントレプレナーとして成功するために必須の能力だと考えています。

アントレプレナーシップを学ぶ学部生のクラスにNVivoを導入した理由

さて、牧野氏が2016年度から教鞭をとる東京理科大学・経営学部では、1年生には「アントレプレナーシップ入門」(必修科目)を、また2−3年生が学ぶゼミでは、学生たちが自ら起業を体験する「事業創造プロジェクト」を中心とする指導を行っています。

NVivoは、ゼミ生向けに2016年度後期から採用されました。経営学部に在籍する学生は全員、卒業論文の提出が必須となっています。

『ゼミ生の卒業研究のクオリティを上げるため、定量分析だけでなく、定性分析もしっかり身につけてほしい、また彼らの研究の進め方について適切に指導したい』 と牧野氏は語ります。

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近年、デジタル化の進展により、「ビッグデータ」が注目されています。日常生活の中から日々、膨大に生み出される大量データを定量分析することにより、様々な産業分野への活用が可能となるからです。 ただ、既存の仕組みから生み出されるビッグデータは、現状の改善には有用でも、既存とは異なる、新たな枠組みを構築するイノベーションのためにはさほど役に立ちません。

むしろ、イノベーションを起こすネタやヒントは、対象をじっくりと観察することや、関係者とのヒアリングを通じて得られた定性データの中に潜んでいることが多いのです。

したがって、指導する学生たちが起業を目指す場合、また大企業に入社したとしても、なんらか新たなイノベーションの創造に取り組んでもらいたいと願う牧野氏にとって、定性データの分析スキルを高めること、また、定性分析ツールである「NVivo」に習熟してほしいと考えたことがNVivoをクラスに導入した最大の理由です。

NVivoの指導自体もアントレプレナーシップに立脚

今回、ゼミ生たちがNVivoを使って分析を行う対象としたデータは、「アントレプレナーシップ入門」を受講した1年生が書いたエッセイです。 エッセイは、東京理科大学に近い「東京国立近代美術館」に行って好きな絵をひとつ選び、その絵を踏まえて「アントレプレナーシップと私」というテーマで考えを述べるというもの。

ゼミ生たちは、下級生が提出したエッセイをNVivoに取り込んで、定性分析を行ったというわけです。牧野氏は、NVivoを採用するに当たり、学生に対して詳細な操作方法のレクチャーを行いませんでした。 あえてざっくりとした概要説明にとどめ、とにかく使ってみてと、学生たちに好きにやらせました。「まずは行動してみる」というのがアントレプレナーとして必要な資質だからです。

牧野氏も想定していたことですが、NVivoに基づく分析結果のレポートには個人差が大きく現れました。 分析対象とするエッセイはまずは36本分だけでよく、残りの約300本は、やりたかったら分析してもよい、ということを学生たちには伝えてありました。結果として、ほとんどの学生は36本分だけの分析に留まっていました。

ところが、中には、この残りの300本も全部NVivoに取り込んで分析を行った者もいたのです。一方で、NVivoの基本的な設定方法を知らないために、頻出語分析で得られた意味のない結果を提出していた学生もいました。

牧野氏は、新年度、2017年度のゼミでは、NVivoの操作方法も丁寧に教えて、前年度の分析においては、どのようにすればより良い結果が得られたかを学生が検証できるような形で指導する予定とのこと。

優れた教育を受けられる日本では、学生の知的水準は高いのですが、基本的に正解を探すことに躍起になりがちで、失敗を恐れて行動を起こさない傾向が高いと、牧野氏は指摘します。 そこで牧野氏は、NVivoを学生たちに利用させる際には、正しい操作方法をあえて教えないことで、試行錯誤の機会を与え、うまくいかない経験を繰り返しながらより良い方法を学んでいくことを狙ったのです。

『定量分析においては、Excelだけでなく、SPSSをはじめとする統計解析ツールを用いるビジネスユーザーが増えてきています。同様に、質的なデータ分析にはNVivoのようなツールが用いられるのが、ビジネスにおいても今後、必須になっていくと思います。』

牧野氏はこのように述べ、学生のころからNVivoに慣れ親しんでもらい、定性分析のスキルを身につけて社会に出てほしいとの期待を示します。

東京理科大学 牧野恵美先生

既成概念を壊し、新たなイノベーション創造に寄与するデータ分析

科学技術が今も大きく進歩している現在も、様々な社会的課題が山積しており、それらを解決するイノベーションが求められています。 イノベーションを起こすためには、既成概念や固定観念をいったん壊し、事実をありのまま理解する必要があります。

現場に出て観察し、当事者の話をインタビューするなどして得られた定性的な情報やデータをNVivo等のツールで客観的に分析することは、既存の枠組みにとらわれ、見たいものしか見えなくなってしまっている「バイアス」を取り去ってくれると牧野氏は強調しました。

近い将来、牧野氏の指導を受けた学生が、NVivoを駆使して斬新な事業を構想し、イノベーションを起こした起業家として脚光を浴びる日が来るかもしれません。

 

 

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